嫁に隠れてオタクするブログ(舞‐HiME SS)

舞-HiME・舞-乙HiME 、なつき・ナツキにどっぷりハマってしまったことは嫁にはナイショなのだ。SSはこっそり書こう。

  ◆SS目次 

   想い人
     舞-乙HiME Zwei ナツキとシズル+ヨウコ   4話直前 ナツキとシズルの絆
   失くしたもの
     舞‐HiME  奈緒となつき   24、25話 ひとりぼっちの奈緒
   気の合うふたり ・ 近づくふたり
     舞-乙HiME ハルカとサラ   ハルカと仲良くなりたいサラ、サラが苦手なハルカ   サラハルシリーズ、現在二話
   それぞれの目覚め(前篇) (後篇)(おまけ)
     舞-乙HiME Zwei ナツキ×(シズル・ナオ・ハルカ・マリア)・サラ・マーヤ おまけはナツナオ   4話最後、石から戻った人々の想い
   同い年の仔猫たち
     舞‐HiME  奈緒と命   本編終了後 二人でおでかけ 命お誕生日お祝いSS 
   特別な日 ・ サンタのいないクリスマス ・ 願い事 ・ いつかきっと
     舞‐HiME  静留さん高校二、なつき中三の冬シリーズ  静留さんお誕生日、クリスマス、初詣、バレンタイン
   髪と下着
     舞-乙HiME シズルとナツキ+ヨウコ  ラブコメ。 出張から早く帰って来たシズルさん。なんだかナツキの様子がおかしい、どうしよう!
   海の向こうで
     舞-HiME 巧海と晶のバレンタインデー
   ピースメーカー・ナオ  第二話  #2.5
     舞-乙HiME アルタイ駐在のナオちゃんが大活躍?!  二話のおまけ小話UP!
   しがつついたち
     舞-HiME エイプリルーフール 奈緒に引っ掛けられて右往左往のなつき
   友達
     舞-HiME なつきとあかね 二人は友達
   苺とあいつ
     舞-HiME 奈緒となつき みんなでイチゴ狩りに行くことになって奈緒はワクワク。でも奈緒の知らぬ間に予定が変更に! 
   エプロン
     舞-HiME 奈緒となつき  風邪をひいたなつきの家に押し掛ける奈緒。そこで見つけた、紫のエプロン
   いぬねこうさぎ
     舞-HiME なつきと奈緒と静留  静留んちで食べた怪しげな動物ビスケット。食べた翌日耳が生えて…… 
   ひなまつりNew!
     舞-HiME なつきと静留  なつきの家で、ふたりでひなまつり
   習作
     本編のシーンをなぞって心情描写味付け。 舞-HiME第三話、生徒会室にて、静留となつき

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えーと。

こんばんは?。おじゃましまーす。だれかいますか?

 すっかり雑草だらけになった廃屋のようなブログですが、ちょっと戻ってみました。覗いたりしてくれてる方がいたらすみません。ずいぶん前にメルフォからコメントくれた方すみません。ベストパートナー投票の結果に失望したとかそういう訳では、そういう訳ではないんですけれども。
 このところ何かアニメを観たかというと、何も観てません。という訳で他のアニメにハートを奪われてる訳でもありません。あ、「破」観に行きましたけども。

 実は最近Jcomのオンデマンド放送で舞-HiMEの配信が再開したので、また1話から観ております。カズ君消滅まで観ました。カズくーん! DVDが出るらしいのですが買わないので、1話100円をバンダイチャンネルに支払って許してもらおうと思ってます。

 久しぶりに他のサイト覗いたらまだまだHiME達に会えました。素敵です。腰を据えて過去分見ないといけないですね。

 
 で、話は戻りますが(どこに)最近「破」を今さらながら観てきました。
 過去のTVを3部作といえば「Zガンダム」が酷すぎたので、似たようなもん?と思って3部そろってから家でみようとたかをくくってたのですが、どうも評判がいいようで。
 ちょっと気になったのでまず「序」を観てびっくり。すごいじゃん。もっと使い回しばっかと思ったらしっかり作ってました。何あのヤシマ作戦。何あの使徒のカッコよさ。エヴァはそんな好みではないんだけど、通常兵器から弾丸と薬莢が飛び出す様が男子としては痺れた!劇場で観りゃよかった!ストーリーはTVと同じ流れを駆け足でなぞる感じで、「あなたは死なないわ」?「泣いてるの?」のくだりもあまり感情移入できなくて残念でしたが、「破」からは展開がずいぶん違うらしい。ワクワクしてきた!

 という訳で観に行きました。
 ちなみに、ほんとにちなみにですが私が一番好きなのはミサトさんです。大人可愛い。百合っ子マヤも応援しています。チャイルド・・・じゃなくてチルドレンはアスカもレイも健気で好きです。ただどっちか選べと言われたら迷わずアスカです。アスカかわいいよ。

 そんな私が観た「破」の感想ネタバレ抜き。
・「序」に負けず戦闘シーンかっちょいい。新デザイン使徒よすぎ。
・キャラの作画もCGもとってもいい。それだけでも十分代金の価値あり。
・ミサトさんかわいいよ。凛々しいのも素敵だけど加持くんがいるとき可愛いくなりすぎだよ。
・アスカかわいいよアスカ。昔のより素直で単純になってる。あと縞パンが、縞パンが!!
・レイも前より人間味アップしてる。幸せにしてあげたいと思うと胸が苦しくなります。
・新キャラなんですかあれ。すごく好みなんですけど。14歳にしとくのは惜しい。20でいいんじゃない?
・おいナギ、じゃなくてカヲル。何企んでるんだよ。

・結論:面白いです。昔観た人は観に行った方がいいよ。動員数増えるといいな。漫画を原作にしなくても、クサレタレントをキャストに起用しなくても客が入るアニメは作れると見せつけたいよね。私はもう一回か二回観に行きます。面白かったよありがとうという意味でお金払ってきます。パンフレットも買いそびれたので買わなきゃ。

 映画館には嫁さんと行きました。TV版は一通り観せてありますが、ゼーレとか死海文書とかリリスとかセカンドインパクトとか理解はしてないと思います。レイのことはレイちゃんと呼び、アスカはアスカと呼び捨てです、なぜかミサトさんの事は葛城さんと呼びますw
 彼女の感想第一声は「難しくてよく分からなかったね」でした。「あんな近くにいたら爆風で普通みんな死んじゃうよね」まぁ、ね。でも文句ばっかりかと思いきや「次が楽しみだね」だそうです。一般女性にも受けることが判明しました。いいことです。
 最後にこう言ってました。
「あれに乗るシンジ君の事を思えば、明日の仕事とかたいしたことないよね」 前向きで何よりです。



 あとがきに。。。ちょっとネタばれ。見ちゃダメですよ。

≫ あとがき

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ベストパートナー投票


 今、公式サイトでは「人気投票ベストパートナー編」の投票が受け付けられております。

 無印、乙、0、それぞれのベストパートナーを選ぶというものです。
無印は静なつがぶっちぎってその不朽の人気を見せつけてほしいなぁと思います。投票総数もびっくりするくらい多いといいなぁ。
 0はまぁなんでもいいんですが、サクラはいるのに、アルタイ大公が選択肢にないというのはどういうことなのでしょう。まぁそういうことなのでしょう。私はキョウコ姐さんが好きなので、キョウコ-イルマです。

 さてここからが本題です(笑)。私は乙ではシズナツを我慢してサラ-ハルカで投票しております。ここをご覧になっているサラハル好きの皆さま、どうぞ暇さえあれば毎日のように彼女達に投票して下さいね。なんとか二人をランクインさせようではありませんか! 上位にくいこめば何かの折に、二人のツーショットイラストくらいは実現するかもしれない。どこかの絵師さんがお祝いに絵を描いてくれるかもしれない。そんな淡い期待を胸にせっせと投票をつづけています。サラハル!

投票所はここだ!→ベストパートナー投票所


 あとがきに拍手のお返事です。
 まだ読みに来てくれる方々がいて、コメントくれる方までいるのがありがたくてブワ。

≫ あとがき

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遅すぎるお返事でごめんなさい

 
 
 ごぶさたしております。
 元気にしております。ありがとうございます。

 昨年末、大変お世話になりました4272UNIONさんが閉鎖されました。今さらながらどうもありがとうございました。
 いくつかのサイト・ブログさんも閉鎖されたり、別ネタに移られて、ずいぶんさみしくなりましたが、それでもまだ更新されてるサイトさんもあるので嬉しいですね。

 更新サボリっぱなしで閑古鳥がしくしく泣いている当ブログですが、今のところ閉じる気はありません。にもかかわらず、覗きに来てくれた稀有な方に公告をお見せする状態が続いていたことをお詫び申し上げます。ごめんなさい。

 とり急ぎ、極めて失礼な期間差し上げていなかったお返事をあとがきに。ホントに失礼しました。

≫ あとがき

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SS ひなまつり

 
 
「なつき、もう買い物終わらはりました?」
「ああ、大体済んだ。そろそろ帰ろうか」
「ところでなつき、今日は何の日か知ったはります?」
「藪から棒になんだ? そういう回りくどい言い方はやめろ」
「あん、怖いわぁ。今日は女の子の日どすえ」
「……お前の周期なんか知るか」
「そうと違います。へんな想像せんといて。女の子のお祭りの日なんどす」
「あ、あぁ……そ、そうか、ひな祭りか。すまん……」
「ふふ、ひなまつり、桃の節句……響きがええよねぇ」
「ん? まぁ……そうか?」
「せやから、なつきのうちでひな祭りやりましょ」
「それは構わんが……何するんだ?」
「赤貝をいただいて、甘いお汁を――」
「蛤食べて甘酒飲むんだろうが! バカ!」
「そういう地方もありますなぁ」
「地域の問題じゃない!」
「とりあえず、お雛さんでも買うて帰りましょ」
「何がとりあえずだ……。まぁいい、小さいのだぞ、段なんかないお内裏様とお雛様だけのやつな」
「分かってます。そんな大きいの買いません。高いし、かさばりますよってなぁ」


「そういえばうちにも子供のころ、立派なのがあったな」
「そうなん?」
「ああ、数少ない両親との思い出だ。わがまま言ってずいぶんと困らせたがな」
「どないしはったん?」
「ほら、雛人形を早く片づけないと婚期が遅れるって言うだろ? さっさと片付けようとする親に必死で抵抗したのさ。雛人形が好きだったんでな、ずっと飾っていたかったんだ」
「ふふ、かえらしねぇ、なつきは。……あ、あれとかどないやろ」
「ああ、かわいいな。でも私はこっちの方がいいかな。お雛様がかわいいし値段も手ごろだ」
「せやね、ほなそれにしましょ」
「ちょ、静留。なんで二つも同じもの持ってくんだ」
「ふた組買うんどす」
「一つで十分だろう? もしお前も欲しいなら、今日うちで飾ったのを持って帰ればいい」
「二つでええの。あと、甘酒も買うてきますけど、他になんかいります?」
「そんなもんでいいんじゃないか。……あ、ひなあられなんかはどうだ」
「うーん、でもうちは、あられもないなつきの方がええわ……」
「誰がうまいこと言えといった! いいから買って来てくれ!」





「静留、甘酒温まったぞ」
「あら、おおきに。ほなお雛さん正面に据えて並んで座りましょ」
「ああ、テレビ台に置いたのか……ってあれ?」
「どないしましたん?」
「なんかおかしいと思ったら、あれ二体ともお雛様じゃないか」
「ふふ、そらそうどす。うちとなつきなんやもん」
「それで二組買ったのか……。で、お内裏様たちは?」
「ゴミ箱どす」
「……お前そういうとこ容赦ないな……仮にも人形だぞ」
「男雛に手加減は無用どす」
「まぁ……いいか。しかし久しぶりだな、こうやってひな祭りめいた事をするのも」
「せやね。うちも小さい頃はお雛さん飾ってもろたんやけどなぁ。うちもえらい両親困らせたんどす」
「そうなのか」
「お内裏さんなんかいらん、お雛さん二人がええ言うてなぁ。えらいぐずったんどす」
「はは、静留らしいな」
「まぁせやけど、これが普通なんや、ずーと昔からこれがあたりまえなんやって言われてどうにもなりませんどしたわ」
「……そうか。まぁいいじゃないか、うちではお雛様二人でいいぞ。私たちはそれでいい」
「ふふ、おおきに。なつきはさっきの話の後どないしたん? お雛さん、すぐ片づけられてしもたん?」
「いや、必死で抵抗したからな。お嫁に行けなくなるぞ、って言われながら四月ぐらいまで飾ってたさ。さすがに邪魔だと雛段を片づけられた後も、人形はずっと一年中手元に置いていた」
「昔から強情なんやねぇ」
「ははっ、だから私はお嫁には行けそうにない」
「…………」
「甘酒、うまいな。たまに飲むとうまい」
「…………」
「どうした、静留。まさかもう酔ったのか」
「……ええやん。お嫁になんか行かんでも」
「……行かないさ」
「ほな……うちのこと、もろてくれる?」
「え? あ、いや、もらうとかもらわれるとかは、その、なんだ」
「はっきりしてくれな嫌どす」
「嫁に行くつもりはないが、その、だからと言って……」
「……なつきのいけず」
「あ、静留……どこへ行くんだ」
「早いとこお雛さん片づけるんどす。うちお嫁に行けんようになってしまうわ」
「わ、わかったから。せっかくだからもうちょっと飾っておこう、な」
「いやどすっ」
「だ、大丈夫だ。静留はお嫁に行ける。保障する」
「どこの誰がこんなややこしいおなごもろうてくれるんやろか」
「…………」
「どこの誰が――」
「わ、わ、わわわ、私……かな?」
「ほんまに?」
「いや、その」
「うち嬉しいわぁ」
「わっ、こ、こら! 離せ」
「うち、なつきのために(なめ)尽くしますさかい」
「こ、こら、今『尽くす』の前になんか小声で言わなかったか」
「空耳どす」
「うわぁぁぁ……ちょ……しず……あっ」

≫ あとがき

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明けましておめでとうございます

皆様明けましておめでとうございます。

旧年中はご愛顧ありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

ただいま実家にて不自由なため、取り急ぎご挨拶まで。また後ほど。

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SSS 時事ネタ


ネタ元の記事一例


「あーもう! どうなってるのこの国は!」
「どうしたの遥ちゃん、なに怒ってるの?」
「KYに腹立ててんのよ」
「え!? ごめん……あたし Kikukawa Yukino なんだけど……」
「ばかね、違うわよ。Kanji Yomenai 首相のことよ」
「なんだ、よかった。そういえば確かにひどいらしいね」
「ひどいなんてもんじゃないわよ! 有無をゆうむ、詳細をようさいって読んだらしいわ」
「そうみたいだね」
「日本の大学出て日本で働いて日本で政治家して、どうやったらこんな漢字くらい読めないままでいられるのかしら?」
「マンガのせいにされたりしたらヤダな……」
「ほんとに嘆かわしいわ。首相がこれじゃ、美しい日本文化もお先真っ暗だわ!」
「他にもいっぱい間違えたらしいよ、首相」
「まだあるの?」
「うん、でも遥ちゃんも大丈夫かな……」
「なんですって!? かかってきなさい!」
「たとえばこれ、『頻繁』
「ひんしゅくね」
「は、遥ちゃんそっちの方が圧倒的に難しいよ。それって『顰蹙』だよ」
「他には?」
「えっと、『未曾有』」
「みそあります、ね」
「は、遥ちゃん、□マスってどこにもないよ」
「どんどんいらっしゃい!」
「あと、『踏襲』」
ストンピングね!」
「もう訳分かんないよ遥ちゃん」
「何よ、私も間違ってるっていうの?」
「……残念だけど」
「フン。でもまあ首相よりマシよ。あのアサナマタロウよりはね!
「……」
「……アソウって読むんだよ……遥ちゃん……」



あとがきに拍手お返事です?。

≫ あとがき

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SS いぬねこうさぎ

 
 
なつき犬
 ぼんやりと目をあけると、部屋は陽の光ですっかり明るくなっていた。
ゆっくりと首を動かして枕元の時計に目をやる。10時半……いや11時半か。ずいぶんな時間だが、今日は休みだからいいだろう。さも普段はちゃんと朝起きているかのようないい訳を心の中でしながら、玖我なつきは上半身を起こした。
 ふぁ、とあくびを一つしてから、四つん這いで反るように伸びをして、頭の上の耳をぷるるんと振る。
 あれ?
 何かおかしい。起きぬけの動作として違和感があるようなないような。ひとつ余計な動きが混じっていたのは気のせいだろうか。まぁいい、コンビニに朝飯でも買いに行こう。そう考えた時、枕元の携帯が鳴った。静留からのメールだと、画面で確認した瞬間、お尻のあたりで何かがサワサワと動いた。
 うわっ!
 慌てて立ち上がり足元を振り返ったが何もいない。気のせいか? 明らかな感触はあったのだが。とりあえずメールを読もうと画面を開くと、またお尻のあたりが動いた。だが振り返っても何もいない。くるくる二回転くらい回ったがやっぱりいない。
 何なんだいったい。
 再び携帯に目を落とす。”お早うさん、なつき。”静留のメールの書きだしを読んだら、今度はうんと激しく動いた。なつきはすかさず手を出した。手ごたえはあった。フサフサの毛でおおわれたそれを掴むと、なつきの体に衝撃が走り膝がくだけた。
 なっ、ちょ、力が……抜ける。
 とっさに手を離す。間違いなくそれは自分と繋がっていた。
 慌ててバスルームに走り、鏡の前に立った。お尻を確認しに来たのだが、自分の顔を見て驚いた。垂れた耳らしきものが二つ、頭の上にのっかっていた。お尻を見るまでもなく悟った。生えているのは間違いなく尻尾だ――。

 
奈緒猫
「奈緒ちゃーん。お昼ごはん作ったよー。もういいかげん起きなよー」
 ……ん? ……あおい? 相変わらず朝から元気だこと。あたしはまだ眠いっつうの。
「いつまで寝るつもりなの? もうすぐ12時だよ」
 ……なんだ、もう朝じゃないのか。それにしてもなんだろう、今日はいつにもまして眠い。昨夜はそんなに遅くなかったはずだけど。あれかな、この布団のふわふわ感がたまらないのかな。とにかく起きたくない。
「もう、奈緒ちゃんたら。ご飯全部食べちゃうよ。いらないの?」
 んー。それは欲しい。さっきから甘い、いい匂いがするし。
「……何作ったの?」
「あ、やっとしゃべったね。メートーだよ!」
「めぇとぉ?」
「メープルシロップトーストだよ。ハニトーみたいなもん。食べるの? 食べないの?」
「……食べる」
 それは食べとかなきゃ。うー、でも起きたくない……あっ。
 不意にシーツを剥ぎ取られた。
「ほうら、食べるんだったら起きなさいって」
「ちょっと……なにすんのよ」
「ふふふ、ネコみたいにまるまっちゃって、かーわいい。はい、起きましょ……って……えぇ!? 奈緒ちゃん!?」
「……なによ、騒々しい」
 ドタバタとあおいがベッドを離れて行く。ほんとやかましい。せめて布団ぐらい掛けていって欲しいんだけど。そう思う間に、早くもあおいは戻って来た。
「な、奈緒ちゃんこれ見てよ」
「は? ……今じゃなきゃだめ?」
「いいから、自分の頭見てみて」
 あおいに無理やり渡されたのは手鏡だった。ど派手な寝ぐせでもついてるんだろうか。まだ寝てるんだから寝ぐせなんてどうでもいいんだけど。
 早く早くとあおいがあまりにうるさいので、奈緒はしぶしぶ鏡を見た。
 え?
 思わず体を起こした。なんだこれは。
 頭の上に耳が、ふたつ。なんで? 本物? 意識をそこに集中してみると、ぴくっと耳が動いた。まぎれもなく自分の体の一部だった。
「きゃーっ! 動いたぁ! かわいー!」
 隣であおいが目を輝かせていた。普通引くとこだと思うんだけど。
「ねぇ、ねぇ、猫だよねこれ、猫耳だよね。奈緒ちゃん超似合ってるんだけど」
 ふいにあおいの手が伸びて、ちょん、と奈緒の耳に触れた。背中に電気が走ったようにぞくっとした。奈緒は身を固くして目を閉じ、耳をぷるぷるさせた。
「あーん、かーわーいーい。やっぱ本物? これ」
「ちょっと、触んないでくれる! 引っ掻くよ」
 あおいの顔にツメをかざし、フーと唸った奈緒を見て、あおいはますます喜んだ。
「きゃー! 猫っぽーい。写メ撮んなきゃ。携帯携帯」
 あおいが携帯を探しにキッチンに走って行く。呆然と見送る奈緒の枕元で携帯がなった。メールだ。差出人である藤乃の名前を見て、寝ぼけていた頭が起きた。そうだ、あれだ。昨日、珍しいお菓子が手に入ったからと誘われて、玖我と二人で藤乃のうちに行った。
 藤乃んちで食べたあれ、あれが原因だ――。

 
「なんだこれは。ただのビスケットじゃないのか?」
 なつきが眉をひそめた。テーブルの上に並べられていたのは、子供が食べるような、動物の絵が描かれたビスケットだった。
「こんなもの食べさせるためにわざわざ呼びつけた訳? バカにしてんの?」
「ただのビスケットと違うんどす」キッチンで紅茶を淹れている静留が答える。
「どう違うってのよ」
 奈緒は一枚ひょいと手にとって裏返してみた。裏側にもなんの変哲もない。一口かじってみたが、普通の味だ。普通に美味しいビスケットだ。
 首をかしげる奈緒に続いて、なつきもビスケットに手を伸ばした。
「ただのビスケットとしか思えんのだが……」
 紅茶を持って戻って来た静留が、テーブルにカップを並べる。
「そうどすか。紅茶はとびきり美味しいさかい、堪忍な」
「だから、味じゃなきゃ何が違うってのよ。適当な事言ってんじゃないよ」
 カップに紅茶を注ぎながら静留がふふふと笑った。
「動物ビスケットなんどす」
「そんなの見りゃわかるっつーの。ガキのころ食べたわよ、こういうの」
 奈緒はくってっかかったが、なつきはもうどうでも良くなったのか、紅茶を啜りながら黙々とビスケットを食べている。
 席に着いた静留もビスケットを一口かじり、にっこりとほほ笑んで言った。
「動物の絵が描いとるだけやのうて、食べたら動物になるらしいんどす」
 は?
 奈緒となつきが顔をしかめて同時に静留を見た。
「あんたバカ? 何言ってんの?」
「こら奈緒、静留にバカとか言うのはよせ」
「今そんなことどうでもいいのよ。元祖バカは黙ってな」
 貴様! と色をなしたなつきを手で制して、奈緒が続ける。
「本気で言ってんの? あんたドラえもん? なるわけないじゃん、どこで買ったのよそれ」
「商店街で買い物してましたらなぁ、黒ずくめのおじさんに声掛けられましてん」静留が紅茶を一口すする。「お嬢さん、あなた人生に退屈してませんか? って言わはるさかい、そうかもしれませんなぁ、って答えたんどす」
「なにそれ、怪しすぎるんだけど」
「何か望みがあればわたくしが叶えましょう、みたいなこと言わはるさかい、可愛いおなごはんに悪戯したいわぁ言うたら、このビスケットをくれたんどす」
「……今、さらっと言ったけど、あんた何その願望」
「食べて一晩寝たら、その人の性質に応じた動物の耳としっぽが生えるらしいんどす」
「信じたの? いくらで買ったのよ」
「お代はいただきません、て言わはるし、全然信じられへんかったんどすけど……なんや指突き付けられて、どーん! とか言われて、気ぃついたら受け取ってしもてたんどす」
「……どっかで聞いたような話ね。黒ずくめで、帽子かぶって、ずんぐりむっくりだった?」
「そうどした」
「名刺もらわなかった? ココロノスキマがどうとか書いたやつ」
「そういえばもらいましたわ。気持ち悪いさかい破り捨てましたけど」
 まさか喪黒……福造? いんの? ほんとに。ウソでしょ。
「喪黒か、喪黒なら仕方ないな」
 なつきがうんうんと頷く。ノーテンキだ、やっぱりこいつ。
「どないなるんやろ。明日が楽しみどすなぁ、二人とも朝起きたらメールおくれやす」
 静留は笑って、ビスケットを口にした――。


 ハッと我に返ると、あおいが目の前で携帯のカメラを奈緒に向けていた。
「写真とかやめてくれる?」
「えー、いいじゃん。一枚だけ」
「一枚も二枚も一緒でしょうよ。もし撮ったら、あんた殺すか携帯壊すかの二択だかんね」
「奈緒ちゃん怖い。せっかくかわいいのにー。千絵ちゃんにも見せたかったな」
 しょげてうつむくあおいの目が、Tシャツ一枚だけの奈緒の下半身の辺りで止まった。
「どこガン見してんのよ」
 Tシャツの裾を伸ばして足の付け根を隠す奈緒。
「ねぇ奈緒ちゃん、写真あきらめるからそっちも見せて」
「ちょっとあんた発情期のオス? 目が怖いんだけど」
「もしかしたらしっぽ、生えてるんじゃない?」
 そういえば、さっきからお尻のあたりに妙な感触がある。手でまさぐると、毛の生えた尻尾らしきものがあった。自分で触ってもくすぐったい。
「……あるわ、確かに」
「やっぱりー。見たい見たい!」
 目を輝かせて、あおいが覆いかぶさってきた。


 奈緒はニット帽をかぶり、逃げるように寮を出た。
 尻尾を見ようと迫ってくるあおいの腕をひっ掻いて泣かせてしまった。ちょっと可哀そうだったけどしょうがない、これ以上観察されたらたまったものじゃない。
 さっきの藤乃のメールは、自分も動物になった、もし皆もそうなら、三人でこれからどうするか善後策を考えよう、という趣旨のものだった。自分で種を蒔いておいて人を呼びつけるとは、相変わらずいい面の皮だ。だが行かない訳にもいかない。なんだかんだ言って、元に戻す方法を藤乃は知ってるんではないかとも思えるし。
 藤乃の家の近くまで来たところで、怪しい人物が目についた。きょろきょろと辺りを気にしながら、人とすれ違うたびに壁際に背中を隠して歩いている。
 なつきだ。
 キャップをかぶり、私服では珍しくスカートを穿いている。おそらく尻尾が邪魔でパンツが穿けなかったのだろう、スカートの裾からはふさふさの尻尾が見えている。人目を避けたくてコソコソしているようだが、かえって目立っていることに本人は気づいていないようだ。
 電柱の陰に隠れて前方を窺っているなつきに、奈緒は音を立てずにそっと近づいた。忍び足が板に付いているのが自分でも分かる。さっきあおいをひっ掻いてしまったことといい、なんかどんどん猫っぽくなっているような気がする。
「あんた怪しさ全開なんだけど」
 ぽん、と背中を叩くとなつきは飛びあがって驚いた。
「キャン!!」
 涙目で振り返ったなつきを見て、奈緒は笑いをこらえる事が出来なかった。
「くくく……今キャン!って……」
「な、奈緒……貴様」
「キャンってあんた。ふはっ、ふはは……ちょっとお腹……痛いんだけど」
「うるさい! いきなり人の背後に忍び寄るんじゃない!」
 ウー、と唸ってなつきが奈緒を睨む。
「ひひひ、うー、だって。うー。ふははは、ウケる。あんたさぁ、絶対犬だよね、犬」
 奈緒はひょいとなつきのキャップを取った。藍色の毛におおわれた、垂れた犬耳がついていた。
「こ、こら! やめろ、人目についたらどうする、返せ」
「だーめ」
 右腕を掲げて帽子を遠ざけ、なつきの目の前に左の手のひらを差し出した。
「なんだ? まさか金を払えとでも言うのか、貴様」
「お手」
「…………」
「ほら早く」
「…………」
「さっさとしな――あ痛っ! なに噛んでんのよ、この野良犬!」
「やかましい! 少なくとも貴様に飼われた覚えはない!」
 なつきが強引に奈緒の頭のニット帽を剥ぎ取った。三角の猫耳が露わになる。
「ふん、やっぱりな。どうりでコソコソと忍び足が上手い訳だ。この野良猫が」
 そう毒づいて、なつきはクンクンと鼻を鳴らし、手にした帽子の匂いを嗅いだ。
「ちょっと返しなさいよ。つか何してんのあんた」
「これで貴様の匂いは覚えた。今度忍び寄る時は風向きに注意しろよ」
「はいはい、ご忠告ありがと」
 奈緒はすっとなつきに近づき、鎖骨から首筋のあたりに顔を寄せて頬をすりつけた。
「うわぁああっ、お、お前なにを……」
「マーキングよ。縄張りの」
「……お前本格的に猫だな」
「これであんたはあたしのシマ。あたしの子分」
「なんだと?」
 奈緒はなつきの手からニット帽をひったくり、頭にキャップを戻してやった。踵を返して歩き出し、背をむけたまま手でこっちにこいの合図をする。
「ほれ、ついといで。玖我犬」
「……人を犬種みたいに呼ぶな!」


 静留の部屋の玄関の前で、奈緒となつきは深呼吸をした。すぐに呼び鈴を押す気にはなれないのだ。お互い顔を見合わせて眉間に皺を寄せた。
「罠かもしれんな」
「そりゃ罠でしょうよ。そもそもこうなる事を期待してビスケット食べさせたんじゃん、あいつ」
「どうなる? 私達は」
「悪戯されるんじゃない? その役はあんたに任せるけど」
「……引き返すか」
「とはいえ、このままじゃ元に戻る方法わかんないからね。虎穴に入らずんばなんとやらよ」
 肩をすくめる奈緒を見て、なつきはふぅ、と溜息をついた。
「虎の穴、か……。静留は……何になってると思う?」
「さぁねぇ……大蛇とか」
「へ、蛇!? 爬虫類とかありなのか? 耳もないし、どこからが尻尾なんだ」
「体じゅう尻尾みたいなもんだからねぇ。部屋に入ると、とぐろ巻いた蛇の上に藤乃の顔が――」
「よ、よせ、やめろ。気持ち悪い事を言うな」
「きっとあんたは全身に巻きつかれて……頭からガブって」
「ひぃいいいっ」
「愛されるのも楽じゃないねぇ」
「……いいかげんな想像はよせ。静留が蛇なら貴様など蜘蛛だろうが!」
「あたしが虫? 気色悪いこと言わないでくれる!」
 言い争っていると、不意に玄関のドアが開いた。ひぃっ、と仰天して身を寄せ合う二人。
「なんや騒がしい思たら。あんたら来たはったんやね」
 顔を出して微笑む静留の姿に、二人は二度びっくりした。


静留兎

「二人ともよう似合うてはりますなぁ。かえらしわぁ」
 お茶を淹れて戻ってきた静留が満足げに微笑んだ。
「わんことにゃんこやなんて、ほんまイメージ通りどすわ」
 奈緒は溜息をついた。なんとまぁ嬉しそうに。案の定、こいつだけはご機嫌だ。
「あのねぇ、なにのんきな事言ってんのあんた」
 咎める奈緒になつきが同調して口を尖らせる。
「まったくだ。恥ずかしくて外を歩けないじゃないか。たまったものじゃない」
 だが、そのふて腐れた口調とは裏腹に、なつきのお尻のしっぽがパタパタと揺れた。静留に可愛いと言われたのがまんざらでもないらしい。犬の尻尾は正直すぎてツンデレ系には致命的だと奈緒は思った。
「大丈夫どす。ずっとそのまま、いう訳やありませんし」
「なんでそんな事分かんのよ」
「動物になるんは、丸一日ぐらいのもんや、言うてはりました」
 静留がさらりと言った。
「喪黒が?」
「そうどす」
「なんでそれを先に言わないのよ! なら寮にこもってればよかったんじゃん。のこのこ出てきちゃったじゃないよ!」
「あん、ええやないの。せっかく動物になったもん同士、顔合わせなもったいないやんか」
 ごきげんな静留が優雅にお茶をすすった。静留は満足げだが、奈緒にはどうしても指摘しておきたいことがまだある。
「あと一つ納得いかない事があるんだけど」
「なんどす?」
「なんであんたがウサギな訳?」
 白いウサギの耳をつけた静留が、かわいらしく科を作って問い返す。
「おかしい? 似合うてへんやろか」
「似合ってなくは、ない」
 奈緒より先に尻尾を振りながら隣のなつきが答えた。確かにバニーガールみたいでありっちゃありだ。だが、問題は似合うかどうかではない。
「どう考えてもあんたはウサギって柄じゃないじゃん」
「せやかて、うち目ぇ赤いし」
「……中身と関係ないじゃんよ」
「なつきがおらんと、さみしゅうて死んでまいますし。な? なつき」
「あ、あぁ、そうなのか……。私にはよく……分からんが」
 静留に目線を送られて、なつきが赤くなって目をそらす。尻尾をちぎれそうなほど振っている。奈緒はうんざりした。尻尾のせいでこの二人のやり取りがいつも以上に痛い。
「あんた間違いなく肉食でしょうが。キャベツとかニンジン齧って満足できるようには見えないんだよ」
「そんな人を猛獣みたいに。怖がらんでええのんよ、猫ちゃん」
「おっかないつぅの。どうせなんか企んでんでしょ」
 どうにも納得いかない。疑わしい。ウサギの皮をかぶった狼なんじゃないか? 奈緒の本能が危険を告げている。猛獣じゃないとしても、エロバニーである事は間違いない。それによく見るといかにもウサ耳は作りものっぽい。あたしのも玖我のもこんなにリアルなのに。
「まぁ、いいわ。なんかヤバそうだし、ここにいてあんたらのやり取り見てたらお腹いっぱいになりそうだし、あたし帰る」
 寮にはあおいや命や鴇羽たちいてじゃまくさいが、奴らのウザさと藤乃のアブなさ。どっちのリスクを取るかだ。いや、寮にも帰らず漫喫にでも泊まればいい。 
 立ち上がった奈緒になつきが続いた。
「じゃ、……じゃあ私もそろそろ」
「まだええやんか、来たばかりやのに。なつき、お座り」
 言われて、立ち上がりかけていたなつきが反射的に正座した。すっかり犬が板についてきたようだ。主従関係がよく分かっている。
「はい、生贄決定。玖我、藤乃の相手はあんたに任せるわ。しっかり遊んでおやり」
「な、奈緒」
 そう言ってすがるような目で奈緒を見るなつきの頭を一撫でして、静留は立ち上がった奈緒をさらに引きとめる。
「寮に戻ったらようさん人いてはるし、なにかと面倒なんと違いますん?」
「あんたの方が面倒」
「もしかして、寮に帰らんと繁華街で夜明かしする気やないやろね」
「……だったらどうなのよ」
「そないな危ない事、うちが許しません」
 静留の目つきが変わった。
「ここにいる方が危ないっつ……う……の……」
 あれ? なんか体に力が入らない。
 静留が四つん這いになって奈緒に近づいてくる。
「こない可愛い仔猫はんを、餓えた雄の群れに放す訳にはいきませんなぁ」
 少しづつ近づいてくる静留の目線を奈緒は外せなかった。
 なんだ藤乃のこの眼は。ウサギの眼なんかじゃない。逆らっちゃいけないと、頭ではなく本能が勝手に反応してしまう。金縛りにあったように体が言う事を聞かない。膝がカクカクしはじめた。
 あ。
 腰が砕けて、すとんと尻持ちをついてしまった。
 静留が尚も迫って来て、奈緒の足の甲にそっと触れた。言う事を聞かない体は後ずさりもままならない。太ももを閉じ、スカートの裾を押さえて身構えるので精いっぱいだった。
 静留は奈緒の眼を見据えたまま、少しずつ、覆いかぶさるようにして顔を近づけてくる。
「逃がしませんえ? ここにおってくれるよね」
「え……っと」
 どうしよう、逃げられない。まずい、このままじゃ。
 そうだ……耳、耳がきっと急所だ。自分もさっきあおいにちょっと触られただけでびくってなった。ウサギの耳ならなおさらのはずだ。
 奈緒は震える手を精一杯動かして、目の前に迫る静留の頭上の耳を、必死の思いで掴んだ。
 だが――。
 静留は微動だにしなかった。簡単に、ウサギの耳はもげた。いや、とれた。案の定ニセモノだったのだ。その下に生えていたのは、髪と同じ色の丸い耳。
 ……やっぱウサギじゃないじゃん。
 奈緒はちょっと頭をずらして静留のお尻を見た。四つん這いになった静留のスカートの裾からは長い尻尾が出ていた。短い毛でおおわれて、先っぽが黒い……。動物園で見た事がある。ネコ科の、いや肉食獣の頂点だ。
 ああ、そうか。そんなに格が違ったのか。あたしに敵う訳ないじゃないか。
「うち、なんかお腹すいてきたみたいやわ」
 次もし動物になる機会があったら、せめて豹くらいにはなりたいな……。
 奈緒は観念して目を閉じた。
 オーッホッホッホッ。
 喪黒の笑い声が聞こえたような気がした。


 目を閉じて大人しくしてると、なんとも愛らしいなと静留は思った。頭を撫でると、奈緒は少しだけ身を固くした。
「ほんまにお腹、すきましたなぁ。サンマ買うときましたさかい、帰らへんのやったら奈緒さんの分も焼きますえ」
「え?」
 奈緒が目をあけて瞬かせた。
「……えっと、サンマ?」
「そうどす。どないします?」
「……食べる」
 ほな、と言って静留がキッチンに去って行く。冷や汗を拭う奈緒になつきが寄って来た。
「奈緒、無事か?」
「え? うん……。マジで喰われるかと思ったわ」
「くくく、しかしまぁびびってたなお前。猫とライオンじゃ無理もないが」
「うるさいわね。あたしはあんたと違って藤乃のセクハラに慣れてないのよ」
「ばか、私だって慣れてる訳じゃない」
 ぼそぼそと言い争っていると、二人は静留に大根おろしを頼まれた。かわりばんこでおろし終わった頃、サンマが運ばれてきた。

「あんたさぁ、もうちょっと綺麗に魚食べらんないの?」
「うるさいな」
「それにさ、ししゃもじゃないんだからマヨネーズつけるのやめてくれる? 見てて気持ち悪いんだけど」
「味の好みにまでとやかく言うな。何様だお前」
「ねぇ藤乃、あんたいったいどういう躾してんの?」
「ふふふ、なつき、奈緒さんみたいに綺麗に食べないかんえ」
「くっ、静留まで……。こうなったら骨まで食べてやる」
「言ってるそばからなにワタどけてんの。そこが美味しいんでしょうが」
「……こんな苦いもの食えるか」
「あんたってほんとガキね」
「貴様さっきからごちゃごちゃとやかましいぞ! 黙って食え」
 じゃれあいながらサンマを食べる二人を、静留は微笑ましく見つめていた。
 えらい可愛い犬と猫。
 餌付けしたら、すっかりご機嫌になっている。
 静留もずいぶん空腹だったが、どうしても魚を食べる気にはなれなかった。肉が、食べたい。
 二人ともほんまに美味しそう。ちょっとお酒でも飲ませて酔わしてしまおうか。
「藤乃、あんた食べないの?」
「そうだ静留、お前も一緒に食べよう」
 静留は牙を隠してにっこりと微笑んだ。
「うちは、あとでゆっくり」
 二匹、いただきますさかい。




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